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口を軽く開けて砲丸を投げる、ハンマー投げの室伏選手 |
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実態を調べるためにトップアスリートたちのスポーツシーンを映像に収め、インパクト(力を込める)する瞬間の口もとをチェックしてみたという川良先生。
すると……。
ハンマー投げの室伏広治選手をはじめ、柔道の鈴木桂治選手やテニスの杉山愛選手など、たくさんの選手はインパクト時に歯を噛みしめていないことが映像から判明(注:取材時、その映像を見せてもらったが、室伏選手に至っては、16ポンドの砲丸を投げるあの瞬間でさえ、軽く口を開いていた!)。
さらに、それをデータで証明するために、咀嚼筋〈そしゃくきん:ものを噛むために使うあごのまわりの筋肉〉に筋電計という装置をつけて、スポーツをしているとき・していないときの筋肉の活動量を調べてみたところ…。 |
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| 実験は、筋電計と筋力測定装置をつけて、こんなふうに行われる。 |
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「ゴルフやサッカー、ウエイトリフティングなど、瞬発力を要するスポーツで、もっとも力を込める瞬間でもピーナッツを食べるときくらいの噛みしめしか起こっていないことがわかったのです」
そしてさらに細かく筋肉やあごの動きなどを調べた結果、見えてきたのは、
「歯を噛みしめて力を発揮するというより、力がもっとも入りやすい位置に下あごを固定している」という結論だったとか。
つまり、最大の力を発揮するために大切なのは、咀嚼筋を使って、その体勢にもっとも適した下あごの位置をキープすること。そのとき上下の歯が接触することがあっても、それはあごを固定するために起こるもので、単に歯と歯を強く噛みしめているのではない、というわけです。 |
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やっぱり重要なのは、キレイな歯並びとよい咬み合わせ |
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とはいえ、あごをベストポジションで固定するために必要なのは筋肉だけではありません。ひずみなくしっかり咬み合わせられる歯並びがあってはじめて、スムーズかつ速やかに、あごがもっとも安定する位置へと移行できるのです。その点では、やっぱり整った歯列は大切。
「もちろん、人間には適応能力がありますから、たとえ歯並びや咬み合わせに問題があっても、咀嚼筋の働きでその不具合を補いながらベストポジションをキープすることは可能です。ただ、歯列がデコボコしていたり、むし歯や歯周病で歯が抜けてしまっていると、あごを固定するスムーズさに違いが出てくるのではないでしょうか」
…と、ここでふと疑問が。
あの王貞治さんは、現役時代、バッティングするときに歯を噛みしめすぎて、奥歯がボロボロになったという有名なエピソードがあったはず。となると、運動するときの強い噛みしめは、人によっては起こり得るということ?
「よく昔から、歯を食いしばってガマンしたとか、歯噛みして悔しがるという表現があるように、噛みしめは感情表現のひとつ。つまり、スポーツに限らず、精神の高揚やストレスなどによって、いつでも起こり得るものなのです。本当に王さんの奥歯がダメになったのであれば、それは練習やプレイ以外の場面で、無意識での強い噛みしめがあったのかもしれませんね」
---以上、川良 美佐雄 先生談
(先生のプロフィールは次のページに!)--- |