いえ、そういうわけではありません。アメリカ人にも、もともとの歯並びに問題のある人はたくさんいます。ただ、そういう場合、子どものうちに矯正装置をつけて歯並びを治すケースが多いですね。というのも、アメリカでは歯並びが整っていないと、その家の教育レベルが低いというマイナスイメージで見られる傾向があって、歯並びのよさが教養の証しとされるからなんです。かりに、とても悪い歯並びの大人がいたとすると、極端な肥満と同じように、その人に自己管理能力がないと見られてしまうでしょう。ですから、子どものときに何らかの事情で矯正歯科治療を受けられなかったとしても、大人になってから受ける人がとても多いのです。私自身、不正咬合だったので、14歳のときに矯正を経験しましたよ。
アメリカ矯正歯科医会(AAO)の2003年の調査によると、全米で500人ほどの人が現在矯正の治療中だということです。そのうちの
80%は18歳以下で、全体の70%は女性
だそうです。治療を受ける人の数は10年前にくらべると30%も増えているんですよ。
20年ほど前までは、矯正といえば歯の1本1本に金属をぐるっと巻きつけるような、すごく目立つやり方しかなかったんです。なので、矯正装置をつけていると「金属の口!」と言ってからかわれたり(笑)。それが歯の表面に装置を取りつける今の治療法に変わってから、目立ちにくいセラミックのブラケットが開発されたりして、患者さんの負担が軽くなったんです。なので今では単に悪い歯並びを治すだけじゃなくて、歯の健康や顔の表情がもっとよくなることを考えて治療を受けるようになったわけです。矯正装置自体もカラフルで楽しいものが多いし、若い人の中にはアクセサリー感覚で治療を楽しむ人もいるんですよ。
歯にバンドを巻きつけて、
すごく目立った昔の矯正装置
私自身は患者さんにステンレスのブラケットを使用していますが、アメリカではやはり目立ちにくいセラミックのブラケットのほうが人気があるようです。ですので、普及率ということではセラミックタイプですね。
目立ちにくいセラミックのブラケット(左)と、
ステンレスのブラケット(右)。日本で人気があるのも、やっぱりセラミックタイプ。
ハッキリとはわかりませんが、まずは今も言ったように教養がないと思われることを避けるため。それとアメリカ人は会話をしながら声を出して笑ったり、微笑んだり、自己表現を大切にしていることも理由としてあると思います。そういうときに人に与える印象としては、整った歯並びのほうがダンゼンいいですからね。
Of course!! 歯が健康であることやキレイであることも身だしなみのひとつですから。私も年に2回は歯科検診を受けて歯垢や歯石を取っています。食後もちゃんと歯をみがきますよ。デンタルフロス(糸ようじ)も使ってね。むし歯? もちろん0本です(笑)。
歯並びを整えると人生が変わるくらい、得られるものがたくさんあります。治療を考えているのであれば、ぜひトライしてください。Just do it!
写真出典:『プレーンアーチ法 新ストレートワイヤー法の理論と臨床』
(小坂肇/医学情報社)
Profile トーマスF・ムーニー3世先生
歯科医として12年、矯正歯科医として4年のキャリアをもつムーニー先生が、海軍歯科医として沖縄に駐在して今年で2年目。普段は沖縄基地内のクリニックで、アメリカ駐在兵とその家族に対して矯正歯科治療を行っている。
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