2005年07号
舌のクセが原因で受け口になることもある!

愛知県にお住まいの石川愛代(ちかよ)さんの長男・貴啓くん(小学2年生)は、受け口を治すため、去年の冬から矯正歯科治療をスタート。

「3 歳児健診を受けたときに、受け口と指摘されました。でも、前歯が永久歯に生え変わるときに自然に治ることもあるようなので、小学校に入るまで、そのまま様子を見ていたんです」と話すのは、お母さんの愛代さん。

しかし、永久歯に生え変わる前に転んで上の前歯が折れるなどのアクシデントがあり、結局、貴啓くんの咬み合わせは改善されなかったのだとか。そこで、去年の秋、はじめて矯正歯科へ。

貴啓くん

去年の9月、はじめて矯正歯科に行ったときに撮ったもの。 たしかに受け口になっています。

 

「受け口は、成長とともに治療が難しくなると聞いていたので、子どものうちに治しておきたいという気持ちがありました。ただ、矯正歯科治療は装置のつけ外しや普段の歯みがきなど、治療を受ける本人が自主的に取り組まなければならないことも多々あるので、子ども自身が治療の目的や意味を理解していないとダメですよね。ですから、家でも『下のあごが引っ込むとすごくカッコよくなるよ』とか『治療しないとこうなるから、今、治そうね』とか、できるだけわかりやすい言葉で矯正の必要性を説明しました

両親や先生の説明を聞きながら、なんとなく治療のことを理解したという貴啓くん。去年の12月には、下の歯にあごの成長を抑制する装置(取り外し式)を装着。そして上の前歯が永久歯に生え変わるのを待ち、今年の5月、上の歯にあごを拡大する取り外し式の装置を入れたそうです。

治療の流れ
上あごにつけている装置

ちなみに、上あごにつけている装置
というのは、こういうもの。

「今は上下とも、食事のとき以外は基本的に装置をつけていますね。矯正装置にもすぐに慣れたようで、痛みや違和感を訴えることもありません。ただ、装置をつけていると発音が少しくぐもって、国語の本読みがしづらそうです。本人は意外に気にしていないようですけど(笑)」

さて、ここで受け口について、少しご説明しておきましょう。

受け口には大きく分けて「骨格性」「機能性」のものがあります。
前者は遺伝などが原因で起こる先天的なものなのに対し、後者は日常生活のクセが原因で起こる後天的なもの。機能性の受け口は、発育期に治療を始めることで比較的簡単に治る場合もありますが、骨格性の受け口は骨の成長を見ながら地道に治療をすすめるので、トータルの治療期間はどうしても長くなってしまうようです。

いずれにしても、受け口の治療は歯の移動だけではなく、あごを正しい位置に誘導していくことが必要になるので、成長期の治療がとても大切。というのも、大人になってから矯正歯科治療で受け口を治そうと思っても、あごの骨の発育がとまっている以上、外科手術を併用した治療が必要になるからなのですね。

…貴啓くんの受け口は、どうやら後天的なものだったよう。
「安静にしているとき、舌の先って本来、上の前歯の根元あたりにあるものらしいんですが、貴啓の場合、舌が低い位置にあって、つねに下の前歯を押していたようなんです。それで下あごが少しずつ前に出てしまったらしいんですね。普段から子どものむし歯には気をつけていたつもりですが、舌のクセまでは気がつきませんでした(笑)。矯正の先生に『舌癖(ぜつへき)が原因』といわれて、ああ、そうだったんだ! と驚きましたね」

スポット
舌先が赤いマークの場所に当たっていれば大丈夫。 ちなみに、この場所を「スポット」と言います。

そこで、治療と平行して、矯正歯科医の指導のもと、舌のトレーニング(MFT)も開始。これは舌のクセを治し、くちびるやほおなど口のまわりの筋肉をバランスよく鍛えることで、治療後、あごや歯が再び元のよくない位置に戻ろうとするのを防ぐためのもの。 トレーニングの内容は、段階に応じていろいろ変わるようですが、どれも基本的に簡単なものばかり。ちなみに、今、貴啓くんがしているのは、ストローを口にはさんで20分間そのまま過ごす、というものだそうです。

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