2005年08号
口もとの印象を劇的に変える外科的矯正

ご存じのように、矯正歯科治療とは歯を移動させて乱ぐい歯や出っ歯といった不正咬合(ふせいこうごう/よくない咬み合わせのこと)を治すもの

成長期の子どもなら、矯正歯科治療であご骨の成長をコントロールし、受け口や開咬(かいこう/奥歯を噛んだとき前歯が上下で咬み合わない状態)といった、骨格に問題のある歯並びを改善することも可能です。

しかし、思春期にこうした治療を受けず、あごの成長が過不足なまま大人になると…。ひどい受け口や、反対に下あごが後ろに引っ込み、鳥のくちばしのような出っ張った口もとetc.になってしまいます。

よくない咬み合わせ

上のイラストのような不正咬合の場合、“前歯でものを噛み切る”という歯本来の機能が損なわれていることが多く、また見た目にもコンプレックスを抱きがち。特に骨の成長がとまっている大人の場合、こうしたケースでは矯正装置だけで機能的・審美的に満足の行く結果を出すには限界があるとされています。要するに、歯並びはキレイに整えられても、あごの形そのものを変化させることはできないわけですね。

そこで選択肢として挙げられるのが、矯正歯科治療+外科治療。つまり、矯正歯科治療に外科手術を組み合わせることで、あごの骨を延ばしたり、縮小させたりして、よく噛める、機能的な美しさをつくるのです。

外科的矯正を始める前 外科的矯正を始める前
(口もとが左右非対称)
外科手術を受ける直前 外科手術を受ける直前
(術前矯正中)
外科的矯正を終えた後 外科的矯正を終えた後

外科的矯正を始める前 外科的矯正を始める前
(反対咬合)
外科手術を受ける直前 外科手術を受ける直前
(術前矯正中)
外科手術を受けた後 外科手術を受けた後
(術後矯正中)
   
外科的矯正を終えた後 外科的矯正を終えた後

「外科的矯正は見た目の変化も大きいのですが、我々口腔外科医は“負担なく噛める”という機能を重視して治療を行います。それが美容外科との違いですね。手術は全身麻酔をかけ、口の中から切開して行います。5年ほど前までは顔の表面(あご骨のあたり)にごく小さな穴を開ける必要がありましたが、今は手術に用いる器材開発が進み、顔の表面にキズが残ることは一切なくなりました」

お話をうかがった東京歯科大学 口腔外科学講座 講師 片倉 朗先生

 

と話すのは、東京歯科大学口腔外科学講座講師の片倉朗先生。同大学では、年間300件ほど、外科的矯正の手術を手がけているそうです。

「うちの大学で全身麻酔によって行う手術は、年間850件ほど。その1/3強が外科的矯正、つまり受け口や開咬といった顎変形(がくへんけい)症の方の手術です。その数は年々増えていますね。それだけ安全性が高く、よい結果が期待できる治療法といえるでしょう」

ちなみに顎変形症とは、あごが上下・左右・前後にズレていることを指し、受け口(反対咬合)や開咬、出っ歯(上顎前突)のほか、顎骨非対称、上顎後退、下顎後退などが挙げられます。

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