2005年08号
痛みや顔の腫れ。ツラいのは、手術後の1週間!?

一口にあごの手術といっても、上下どちらかのあごが対象になる場合もあれば、上下両方を同時に手術する場合もあり、ケース・バイ・ケース。手術時間は、片方のあごだけだと1.5〜3時間、上下になると4〜5時間。執刀する先生の熟練度によっても多少の時間差があるそうです。いずれにしても手術前夜からは絶食。そして、手術中も点滴を続けることに。また、手術後は切ったあごを安静に保つために、1週間ほど顎間(がくかん)固定が行われます。

顎間固定

これが顎間固定

「昔は切ったあごの骨をワイヤーで巻いて固定していたのでズレることもあり、固定期間も6週間ほどかかりました。でも最近は骨を固定するためのスクリューや金属のプレートが開発され、それによって骨の固定力がよくなり、顎間固定をする期間も術後1週間程度と、かなり短縮されています。なかには顎間固定をまったく行わない病院もあるんですよ」

顎間固定がついている間の食事は、創部から雑菌が入らないよう経口の流動食か、鼻カテーテルによる経過管栄養食。この鼻カテーテルも5年ほど前までは手術後1週間は入れていたそうですが、今は固定期間の短縮に伴って4〜5日ほどではずせるようになったのだとか。

「基本的に健康な体の方に行う手術ですので、術後の翌朝には自分で歩いてトイレに行けます。ただし、顎変形症の手術は人工的にあごの骨を切るわけですから、顔は腫れます。手術後2、3日が腫れのピークですね。それを過ぎると徐々に納まりますが、完全にひけるまでは2週間ほどかかります」

手術後数日は、まるで満月のような丸顔に…(この腫れは必ず引くそうなのでご安心を)。しかし、考えてみれば骨がある程度の強度で癒合するには2〜3カ月の時間がかかるもの。それを思えば、顔の腫れも、長い目でとらえるのがよさそうです。

「手術が終わると咬み合わせが整い、きちんと噛める状態になります。そして、3カ月から半年もすると、顔の脂肪のつき方や表情筋の状態が変わり、新しい顔だちが完成します。受け口や左右非対称など、もともとの変形が大きかった方ほど、劇的に変化がわかるんですよ」

ちなみに、手術はこんな感じ

顎変形のある顔だちを劇的に変える外科的矯正。その手術には、さまざまな方法があります。その中のひとつが、受け口や開咬などに用いられる「下顎枝矢状(かがくししじょう)分割術」。これは下あごの奥歯の後方(下顎枝)を内側と外側の2枚に割り、上下の歯が正しく咬み合う位置まであごの骨をスライドさせ、その位置で固定するというもの。適応症が広いため、世界中でもっとも普及している術式だとされています。

下あごの骨を前方に移動

下あごが引っ込んでいる場合(出っ歯など)は、下あごの骨を前方に移動させる

下あごの骨を後方に移動

下あごが出ている場合(受け口など)は、下あごの骨を後方に移動させる

 

「下顎枝矢状分割術は、東京歯科大学の高橋庄二郎名誉教授が40年前、チューリッヒから持ち帰り普及させた術式で、以来、日本全国で数多くの症例実績があります。たくさん症例があるということは、それだけ技術や器具が改良され、さまざまな面で完成しているということです。と同時に、仮に何かの失敗をしても、きちんとリカバーする方法が確立されているわけですね。ですので、総合的に見て安全度が高いといえるのです」

次のページでは、この方法で外科的矯正を経験した方のお話をご紹介しましょう。

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