2006年11号
リテーナーの使用期間が「その後」の歯並びを左右する!

では、逆に動的治療後、リテーナーの装着が短いと、歯はどれくらい後戻りしてしまうのでしょう?

「もとの歯並びとまったく同じようになることはありませんが、リテーナーの使用が短いと、歯並びは確実に後戻りします。これに長い年月の中で加齢変化が加わると、矯正治療をしていない標準的な歯並びの人より歯列の乱れが著しくなってしまうんです」(宮崎先生)

後戻りしてしまった例

谷田部賢一先生

・治療前

谷田部賢一先生

・動的治療終了後

谷田部賢一先生

・14年後

ここでいう加齢変化とは、むし歯や歯周病などを適切に治療しなかった結果、歯が欠けたり、失われたりすること。そのため、隣り合う歯や上下に噛み合う歯が動いてきて、歯並びが徐々に変化してしまうのです。

 良い歯並び度の違い

このグラフは谷田部先生がこれまでの臨床事例を概念図としてまとめたもの。それによると、2〜3年しかリテーナーを使っていない人と、30年以上使っている人の、その後の「差」は歴然! 治療後、数年では大きな変化はないものの、短期間しかリテーナーを使っていないと、20年30年経つうちに、治療前の歯並びに近づいていってしまうという衝撃的な内容になっています。

「よく舌で歯を押すクセがあると歯列に影響が出るといわれますが、私のこれまでの経験では、そういう例は極めて少ないと思っています。それよりも、一番の元凶はやはりむし歯や歯周病でしょう。むし歯の治療のために歯科医が削ったり詰めたりしたものも、年月を経て歯を失う一因になるのです。保定期間の定期的な通院は、そんなトラブルを起こす前に歯を健康に保つための大切な機会。むし歯や歯周病になりやすい人、歯石がたまりやすい人は、特に通院をきちんと続けていただきたいですね」(谷田部先生)

「矯正歯科医は動的治療が終わったらさようなら、では決してありません。リテーナーを作って、その後の観察を繰り返し、微調整をしながら咬み合わせの加齢変化にも対応します。長いおつきあいだとお考えください(笑)」(宮崎先生)

手間と時間と費用をかけた矯正歯科治療をムダにしないためにも、リテーナーの長期使用は必須。そして、保定期間の通院も、咬み合わせや歯の健康状態を専門家にチェックしてもらう大切な機会と心得て、診療所とのおつきあいはマジメに長く続けたいものですね。

次のページでは、実際20年以上リテーナーを使っている方に「継続の極意」をうかがいました!

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