| 本題に入る前に、まずは「咬み合わせ」と「歯並び」について、おさらいしておきましょう。そもそも咬み合わせとは、上下の歯を咬んだときに、上あごの歯列と下あごの歯列が合わさる状態のこと。上下合わせて28本の歯(親知らずがある人は最大32本)がバランスよく接触し、しっかりと咬み合うのが、よい咬み合わせの基本です。一方、歯並びとは文字通り、歯列のこと。咬み合わせと歯並びは、まるで車輪とタイヤのように切っても切れない関係で、両方がバランスよく機能することが大切なのです。 |
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■よい咬み合わせとは?
歯を咬み合わせた状態で…
●上下の歯は「一歯対二歯」の関係で、交互に隙間なく咬み合う
●上下の前歯の中心のライン(正中線)が一致している
●上の前歯が、下の前歯の外に2mmほどかぶさる
しかし、実際には完璧な咬み合わせと歯並びをもつ人はそれほど多くありません。また、歯並びが悪くてもしっかりした咬み合わせを保っている人もいるので、多少基準から外れていても日常生活に問題がない限り、特に心配ないといえるでしょう。
問題は、咬み合わせが悪いために日常生活や顎関節に問題を抱える人。この中には、一見歯並びがきれいに見える人もいて、矯正歯科治療のスタートが遅れるケースもあるといいます。
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問題がある咬み合わせの例
(以下のような症状が、いくつか重なっている場合もあります)

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■反対咬合(はんたいこうごう)
いわゆる受け口のこと。下の歯が上の歯より前に出ている状態。下の歯だけ前方に傾斜している場合と、下あご自体が前方に発育している、または上あごが後方に引っ込んでいるなど骨格性のものがある。 |
〈問題点〉
●下あごがしゃくれた感じになるので、顔の中で下あごばかり目立つ
●食べ物をよくかむことができない
●発音が不明瞭で聞き取りにくい話し方になる

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■開咬(かいこう)
奥歯はかんでいても前歯(または横の歯)が咬み合わず、上下に隙間が開いてしまう状態。 |
〈問題点〉
●麺類などを前歯でかみきれない
●話すとき、息がもれて発音がうまくいかないため、聞き取りにくい言葉になる
●咬み合わせが不安定なために、顎関節に負担がかかる
●成長期に下あごが正常に発育できない

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■過蓋咬合(かがいこうごう)
上下の咬み合わせの重なり度合が大きい状態。下の前歯がほとんど見えないほど深くかみこんでいる場合もある。 |
〈問題点〉
●歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)に負担がかかる
●下あごの前方への成長が妨げられる
●顎関節症の一因になる可能性がある

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■上顎前突(じょうがくぜんとつ)
いわゆる出っ歯のこと。あごの骨に原因がある場合と、歯だけが前に出ている場合がある。上あごの前歯が下あごの前歯と咬み合わず、ひどい場合は上と下の歯が当たらずに歯ぐきをかんでいる場合もある。 |
〈問題点〉
●歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)に負担がかかる
●口が閉じにくい

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■交叉咬合(こうさこうごう)
上下の奥歯が横にズレて、反対に組み合わさっている状態。上下の歯の中央ラインがズレている場合が多い。 |
〈問題点〉
●顔や口元に左右のゆがみが生じることもある
●顎関節症や顎変形症の一因になる可能性がある
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日本矯正歯科学会の会長でもある
相馬邦道先生
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「デコボコの歯並びや出っ歯などは、見た目の審美性にかかわるために患者さんの関心も高いのですが、咬み合わせの善し悪しは一見外部からわかりづらいこともあって、案外無関心な方が多いですね。しかし、この咬み合わせの問題に早く気づくことが、実は大切なことなのです」
と話すのは、東京医科歯科大学 大学院教授の相馬邦道先生。
「なぜなら、咬み合わせはあごの機能と直結するため。放っておくと硬いものが噛み切れない、あごが疲れる、発音に問題がある…といった症状につながります」
歯並びがデコボコしているだけでも咀しゃく力(かむ能力)は落ちますが、上あごや下あごが変形していたり、咬み合わせにズレがあったりすれば、より一層かみづらくなるのは当然。また、歯磨きのしづらさから虫歯や歯周病になりやすかったり、顎関節症になりやすかったり、ということも考えられます。
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■顎関節症とは?
下あごの関節が頭蓋骨にある関節円板にアンバランスに接触することで関節への負担が偏るなどして、雑音や痛み、口が開かなくなるなどの症状が起こる病気。 |
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しかし、幼い頃から咬み合わせに問題があると、どんな状態だとよくかめるのか、自分ではなかなか理解できないもの。そこに問題があると相馬先生は指摘します。
「咬み合わせに問題がある場合、たとえ子どもであっても口の中の違和感を認識しているものです。ただ、それをうまく表現することができないんですね。大切なのは周囲の大人が気づいてあげることですが、機能の認識はなかなか他人にはできないため、つい放置されてしまう。矯正治療はもちろん大人になってからも受けられますが、語学や運動の習得と同じように、咬み合わせの治療も、本来は骨が発育段階にある子どもの頃に始めたほうがより高いレベルで改善できることを知っておいていただきたいですね」
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→子どもの歯並びと矯正歯科治療に関するくわしい解説は、
「えくぼ☆マガジン」のバックナンバーをどうぞ。
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