2005年3月号P1
経験ゼロでも「矯正歯科」の看板が出せるってホントなの?

「歯の治療」とひと言でいっても、その内容は実にいろいろ。病院に外科や産婦人科があるように、歯科にも子どもの歯を専門に診る小児歯科や、むし歯などを治す一般歯科、口の中の外科手術を行う口腔外科…と、症状に応じた専門があります。その中で、歯並びや咬み合わせの不具合(不正咬合:ふせいこうごう)を治療するのが矯正歯科。

じゃあ、矯正歯科の看板を出している医院ならどこでも同じ? 

…というと、答えはNO。

実は、現在の歯科医師法では「自由標榜(ひょうぼう)制」といって、歯科医の免許さえあれば誰でも「一般歯科」「矯正歯科」「小児歯科」の看板が出せるのです。つまり、極端な話、治療経験がなくても「矯正歯科」を名のれるということ。そのための基準も、ノルマも、学会の認定も一切不要!

これ、患者にとっては驚くべき事実、ですよね。

というのも、矯正歯科治療は今ある歯をよりよい場所に動かし、機能性と見た目を考慮しながら咬み合わせを正していく、専門性の高い医療のはず。それ相応の経験がないと、個々の症状に基づいた判断が難しいのでは?と思うのですが。

山口秀晴先生
山口秀晴先生

「たしかに歯やあごの状態は人によって千差万別なので、ケース・バイ・ケースで治療を変えられる幅広い知識が必要です。それには、やはり矯正歯科だけを専門にやっていないと厳しい。一般歯科診療をしていて、ある曜日だけちょこっと矯正歯科治療をしているような先生にはよく話を聞いて納得してから始めましょう」

というのは、東京歯科大学歯科矯正学講座教授の山口秀晴先生

石川和弘先生
石川和弘先生

また、愛知県で開業する日本歯周病学会の歯周病専門医、石川和弘先生も、

「矯正歯科治療は奥の深い医療です。私自身、かつて矯正歯科の医院に4年ほど研修に行っていたことがあるのですが、そのとき、生半可の知識では勤まらないことを実感しました。歯周病治療と同じように、治療数や技術など、専門医としての豊富な経験があってはじめて、いろいろな症例に的確に対応できるのだと思います」と話します。

では、経験豊富な矯正歯科医を見極めるにはどうすればいいのでしょう?

「まずは、その先生が専門医かどうか。矯正歯科の場合、今の歯科医師法で専門医であることを広告などに表記できないようになっているので、外から判断しづらいのですが、『○○矯正歯科』というふうに自院の名前に矯正歯科が入っているところは専門の矯正医が開業していると思って間違いないでしょう。治療経験や技術面で、安心できるひとつの指標になるはずです」(石川先生)

(ちなみに、歯科医療の中で歯周病と口腔外科に関しては、それぞれの学会が認定する専門医を取得したドクターであれば、広告などでも「専門医」と表記することが認められている)

◆参考サイト:→日本歯周病学会 →日本口腔外科学会

 

逆に、矯正歯科と並んで一般歯科や小児歯科など、複数の診療科目が出ているところは、先に書いたような「標榜医」であるケースが多いのだとか。

ただし、複数の診療科目を掲げていても、そこに矯正歯科治療を専門としている先生が「常勤」していれば話は別。そうではなく、週1〜2回、矯正歯科医が一般歯科の診療所にアルバイトに来て治療を担当するケースなどでは、矯正医が来るときだけしか予約できなかったり、治療途中で先生が代わる可能性があったり…。

矯正歯科治療の期間は最低でも2年はかかるもの。せっかくなら、信頼できる一人の先生にずっと診てもらいたいもの、ですよね。

その点でも、やはり矯正専門医のもとに通うのが安心といえそうです。

 

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